映画「ベイマックス」のあらすじ
1.「ベイマックス」の作品紹介
公開日: 2014年10月23日 (日本)
監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
原作者:ダンカン・ルーロー、スティーブン・T・シーグル
原作:BIG HERO 6
出演者:ライアン・ポッター、スコット・アドシット、ジェイミー・チャン、ジェネシス・ロドリゲス、T・J・ミラー、デイモン・ウェイアンズ・Jr、他。
受賞歴:アカデミー賞にて、長編アニメ映画賞受賞。ブリンプ・アワードにて、アニメ映画賞受賞。
2.「ベイマックス」のあらすじというわけで、ここからはストーリーの解説に入ります!
例によって、ネタバレなしとネタバレありの2段階。
ネタバレなしだけ読んで引き返すもよし、DVDで観てからまたここに戻ってくるもよし。
思うがままに決めていただいて大丈夫です!
「ベイマックス」のあらすじ(ネタバレなし)
「サンフランソウキョウ」の路地裏で、小さなロボットを戦わせてお金を稼ぐ「ロボット・ファイト」に興じている一人の少年がいました。
少年の名は、「ヒロ・ハマダ」。
彼は、自前のロボット「メガ・ボット」を操って、ヤーサンの親分相手にも平気で賭け金を巻き上げています。
一見純粋そうな少年なのに、いきなりダーティなことに手を染めてますね。
そんなヒロを、お兄さんの「タダシ」は『せっかくの才能をつまらないことに使うな』と呆れ顔。
実は、ヒロの持っている「メガ・ボット」は彼自身が開発したもので、科学技術が粋を凝らされた超高性能ロボットでした。
中学生ぐらいの年齢で高校を卒業したヒロは、その有り余る才能を持て余して、裏通りで燻っていたのです。
そんな弟を見かねたタダシ兄さんは、自分が通っている大学に彼を連れて行くことにしました。
タダシの所属する研究室は、ヒロが想像さえしなかったような発明品で溢れかえっていました。
そしてこれらを開発したのが、タダシの学友達です。
しかしそれもそのはずで、彼等の呼び名は全て「フレッド」なる人物につけられたニックネームとのことでした。
フレッドは大学生ではなく、勉強のことは分からないようですが、タダシやクラスメート達とも大の仲良しのようです。
フレッドのバカ話を笑い半分呆れ半分で聞いているゴーゴー達をよそに、タダシは弟を別の研究室に誘います。
そういえば、お兄ちゃんの研究の話はまだ聞いてませんでしたよね。
タダシ兄さんは、おもむろに取り出したダクトテープをヒロの腕に貼り付けたかと思うと、いきなりビリッと剥がします。
完全に中学生レベルのいたずらですね。
すると、部屋の片隅で、何か真っ白な風船のような物体が膨らみ始め、人の大きさぐらいになりました。
謎の風船ロボは、ヒロのビリッてやられた腕に消毒スプレーを噴射しました。
人間のケアの為に自発的に動く人工知能搭載ロボット、これがタダシの発明だったようです。
ベイマックスを目にしたヒロは、彼のカメラアイを、ビニールボディを、内部の骨格を、1万通りの治療を組み込んだプログラムチップを、食い入るように観察し始めました。
ついさっきまで、ヤのつく人達と遊んでいるスレたガキだったのが、今や純粋な14歳の少年に戻っています。
ロボット・ファイトで食っていこうと思っていたヒロでしたが、この時点でかなり心が揺れ動いていますね。
更にそこへ、大学教授の「ロバート・キャラハン」が声をかけてきました。
ヒロが作ったメガ・ボットに使われている技術、「電磁ベアリングサーボ」を発明した張本人です。
憧れの人物の下で、自分と同等以上の天才達と、存分に才能を振るえる場所がある。
大学に居場所を見出したヒロは、なんとしても入学することを決意します。
ヒロが飛び級合格を果たすには、大学の研究発表会でキャラハン教授を唸らせるような発明品を出展しなくてはいけません。
そこでヒロは、今まで愛用してきたメガ・ボットの電磁ベアリングサーボを応用することを思い付きます。
自宅のガレージで連日連夜、研究に没頭するヒロ。
そんな弟をタダシは手伝い、いつのまにかタダシの友人達まで参加し始めました。
ディズニー長編映画「ベイマックス」、いきなり終盤みたいな展開です。
そして待ちに待った発表会当日。
緊張気味のヒロを、仲間達は『ヒロならやれる、大丈夫』と太鼓判。
フレッドに至っては、『パンツは1枚で4日履けるからチビっちゃっても大丈夫』とか言い出し始めます。
完全にどうかしてますね。
フレッドはさておき、ヒロが発明した「マイクロボット」は、指先ほどのサイズしかない超小型ロボットです。
一見単なるおもちゃですが、このマイクロボットは無数にあり、互いに引き寄せあって、建物や階段など、どんな形でも作ることができます。
言ってしまえば細胞のような存在で、しかもこれを操作者の頭部に装着したデバイスで、意のままに操ることができるのです。
想像力一つでどんなものでも作れてしまうマイクロボットに、会場はスタンディングオベーション。
これで入学間違いなし!なのですが、よほど革命的な発明だったのか、クレイテック社の「アリステア・クレイ」なる人物がその場でオファーをかけてきます。
科学の追究か、それとも金か。
ある意味究極の2択ですが、才能の使い道を見つけたヒロは迷うことなく大学を選びます。
キャラハン教授は感激し、その場で入学許可証をヒロに手渡します。
発表会は大成功、今夜は兄さんや仲間達と一緒にお祝いです!
開始21分半にして本当の夢を見つけて、しかもそれを叶えてしまったヒロ。
この映画あと1時間ちょいあるんですが大丈夫なんでしょうか・・・?
ところが、大学を後にしようとした時に事件が発生。
なんと、大学で火事が起こり、校舎が火に包まれています。
しかもキャラハン教授が逃げ遅れたようです。
タダシ『教授が居るんだ、助けに行かないと!』
必死に止めるヒロを振り払って救出に向かうタダシ。
しかし、タダシが燃えさかる校舎に入った直後にバックドラフト(爆発)が起こります。
一夜にして、教授も兄も帰らぬ人になってしまったのです。
兄を失い、ショックで部屋に引きこもるヒロ。
でも、身内を失った心のスキマはそう簡単には埋まらないようです。
そして、ずっとご無沙汰だったロボット・ファイトに繰り出そうとメガ・ボットを掴みます・・・が、ロボットのパーツがすっぽ抜けてヒロの足を強打!これは痛い!
すると、タダシがいた隣の部屋から妙な起動音と、どこか聞き覚えのある風船が膨らむ音が聞こえ始めました。
ベイマックス」のあらすじ(ネタバレあり)
ヒロが振り向くと、これまた見覚えのある真っ白風船男がノシノシと近づいてきました。
ベイマックスです。
彼はずっと、タダシの部屋の隅にしまわれていたようでした。
兄さんの忘れ形見との思わぬ再会。
でもベイマックスの姿は、いなくなった兄のことを嫌でも思い出させます。
塞ぎ込むヒロと、彼の心を癒やそうと懸命にまとわりつくベイマックス。
ケアロボットとしばらくコントのようなやり取りを繰り返していたヒロでしたが、ベッドの下で、1個だけ残っていたマイクロボットを発見しました。
マイクロボットは壊れているようで、勝手にウネウネとうごめいています。
虫みたいでちょっとキモいです。
ヒロは大して気にも留めず、メガ・ボットの修理を始めました。
一方ベイマックスは、『小さいロボットはどこかに行きたがっています』と、しきりにヒロに話しかけます。
ガタが来たロボット2台に囲まれてうんざりし始めていたヒロは、『じゃあ探してくれば?』と生返事。
しかし、これがいけませんでした。
マイクロボットに導かれるままに歩き出したベイマックスは、なんとナチュラルに外出してしまいます!
大慌てで追いかけるヒロと、手に持ったマイクロボットをガン見しながら横断歩道(信号赤)を渡るベイマックス。
「歩きスマホ」ならぬ「歩きマイクロボット」のベイマックスになんとか追いついたヒロでしたが、ベイマックスが立ち止まった所には古びた倉庫が建っていました。
マイクロボットが壊れているのでなければ、このよく分からない倉庫に用があるということになります。
倉庫に忍び込むヒロとベイマックス。
そこで彼等が見たものは、大量に生産されたマイクロボットでした。
あの火災で失われたマイクロボットを、何者かが量産していたようです。
振り返ると、黒ずくめで仮面を被った、いかにも悪役っぽい人物が立っていました。
謎の男は量産したマイクロボットの大群を操り、ヒロ達に襲いかかります。
ヒロが自宅で発見したマイクロボットは、ここで生産されていた同胞達に引き寄せられていたのです。
命からがら工場から脱出したヒロは、仮面の男が兄の死に関わっているのではないかと推理します。
あの夜の火災が、事故じゃなかったとしたら・・・?
仮面の男がマイクロボットを盗んだ証拠を消す為に、大学に火をつけたんだとしたら・・・?
自分の発明を狙った男がいて、そのせいで兄が死んだ。
そしてその男は、今も何かを企んでいる。
もうこうなってしまっては、いつまでも塞ぎ込んでいる場合ではありません。
ヒロは仮面の男を捕まえることを決意し、ベイマックスに新たに開発した戦闘用チップと戦闘用アーマーを装備させます。
ベイマックスを肥満体のロックマンのような姿にパワーアップさせたヒロは、マイクロボットが指し示すままに港へ行き、仮面の男と対峙します。
・・・が、ベイマックスはマイクロボットの群れに一撃でぶっ飛ばされてあえなくピンチに。
逃げ回るしかない2人でしたが、そこへタダシの友人達が駆け付けます。
不登校続きのヒロを心配してこっそり後を追いかけていたようでした。
なんて良い人達なんだろう・・・。
自動車に乗って逃げおおせた6人(大学仲間4人+ヒロ+ベイマックス)は、フレッドの提案で、身を隠せる場所に移動します。
辿り着いた先は、なんと豪邸です。
同じパンツで4日とか言ってた人物が、実は大金持ち・・・本当によく分かりませんね、この人は。
よく分からないフレッドは、更によく分からないことを言い始めます。
曰く、『仮面の男の正体が分かった』とのことですが、
ベイマックスを肥満体のロックマンのような姿にパワーアップさせたヒロは、マイクロボットが指し示すままに港へ行き、仮面の男と対峙します。
・・・が、ベイマックスはマイクロボットの群れに一撃でぶっ飛ばされてあえなくピンチに。
逃げ回るしかない2人でしたが、そこへタダシの友人達が駆け付けます。
不登校続きのヒロを心配してこっそり後を追いかけていたようでした。
なんて良い人達なんだろう・・・。
自動車に乗って逃げおおせた6人(大学仲間4人+ヒロ+ベイマックス)は、フレッドの提案で、身を隠せる場所に移動します。
辿り着いた先は、なんと豪邸です。
同じパンツで4日とか言ってた人物が、実は大金持ち・・・本当によく分かりませんね、この人は。
よく分からないフレッドは、更によく分からないことを言い始めます。
曰く、『仮面の男の正体が分かった』とのことですが、
- 「ドクタースローターMD」の正体は、億万長者の武器デザイナー「マルコム・チャゼルティック」
- 「マライア・レーター」の正体は、実業家の「リード・マクスワージ」
と、彼の大好きなアメコミの話ばかり。
どうやら彼は人生の教訓をヒーロー漫画から学べると思っているらしく、仮面の男の正体もまた、アメコミに登場するようなやり手の実業家なのではないかと推測します。
寝言もいいところですね。
でも、よく考えてみれば確かにつじつまが合います。
思えば発表会があったあの日、「アリステア・クレイ」なる社長さんが、オファーを出してきましたね。
クレイ社長がマイクロボット欲しさに火事場泥棒をしたのなら、量産体制が整った今、開発者のヒロを消そうとしたのも合点がいきます。
仮面の男はタダシの仇でもあります。
ヒロ達は、クレイを捕まえる為に一致団結しました。
さっきは全く敵わなかったベイマックスのアーマーを更に改良すると共に、生身の人間であるヒロ達も、それぞれの得意分野を活かして自分用のバトルスーツを開発します。
ヒロのスーツは目立った機能は無いみたいですが、
- ゴーゴーは、反重力車輪を両足に装着して超高速移動
- ワサビは、両腕から出せる電磁波レーザーブレード
- ハニーレモンは、何でも凍らせたり固めたりできる化学物質ボール
- フレッドは、(ヒロが作ってくれた)灼熱の炎を吐く怪獣の着ぐるみ
と、まるでスーパーヒーローのような能力が勢揃いです。
そして気になるベイマックスですが、彼は真っ赤なボディに強力なロケットパンチ、空を飛べるロケットエンジンを搭載しています。
もはやロックマンを通り越して「鉄腕アトム」のプルートゥと化してしまいましたね。
人体スキャナーも超強化されたベイマックスは、クレイが謎の孤島に隠れていることを突き止めます。
早速乗り込む6人。
孤島には閉鎖された研究施設が隠されていて、謎めいた巨大な装置が眠っていました。
そこに残された記録映像によると、クレイは昔ここで、社をあげて物質転送装置の極秘実験を行っていたようです。
物だけではなく生きた人間も転送できることを、軍や政府関係者の前で証明する為の実験だったみたいですが、装置の不調を押しての強行だった為に不具合が発生。
女性テストパイロットが異次元の向こうに消えてしまうという悲惨な結果に終わったのでした。
クレイが街の港にいたのは、この装置の残骸を回収する為だったようです。
いよいよ見てはいけないものを見てしまったヒロ達に、クレイが三度襲いかかりました。
戦いの最中、ついにヒロはクレイの仮面を見事奪い取り、マイクロボットを無力化します。
頭部の装置が無ければ、マイクロボットは動かせませんからね。
しかし、仮面の下の顔を見た一同は驚愕。
なんと、仮面の男の正体はクレイではなく、火事で亡くなったはずのキャラハン教授だったのです。
あの火災は本当にただの事故で、教授はたまたま近くにあったマイクロボットの山を耐火シェルター代わりにして、密かに生き残っていたのです。
教授を助けに行ったタダシは無駄死にだということが分かり、当の教授本人も『余計なことをするからだ』と吐き捨てました。
激昂したヒロは、ベイマックスからタダシの医療チップを抜き取り、『キャラハン教授をやっつけろ』と命じます。
血も涙も無い殺人兵器と化したベイマックス。
カメラアイを赤く光らせて、キャラハンを殴り殺そうと追い詰める姿は、さながら「ロックマンX」のイレギュラーを思い起こさせます。
ゴーゴー達は暴走するベイマックスを必死に止め、なんとかベイマックスに医療チップを再び差し込むことに成功します。
しかし、キャラハンは隙をついて仮面を取り返し、マイクロボットと共に姿を消してしまいました。
キャラハン絶対殺すマンと化したヒロは『助けなんて借りなきゃよかった!』と声を荒げ、ベイマックスにキャラハンの追跡を命じます。
が、強化スキャナーが故障していることが判明し、ひとまず修理のために自宅に急行。
なんとか殺人を思いとどまって欲しい仲間達は、不気味な島に置いてけぼりです、酷過ぎます。
秒速でスキャナーを修理したヒロは、再びベイマックスの医療チップを抜き取ろうとします。
しかし、アクセスポートは頑として開きません。
兄の名前を出され、『兄さんはもういない!』と悲嘆に暮れるヒロ。
しかし、ベイマックスは続けます。
ベイマックス『タダシは、ここにいます』
すると、ベイマックスのビニールボディに映像が映し出され、いなくなったはずの兄の声が聞こえてきました。
どうやら、ベイマックスの起動テストをしていた生前のタダシの様子を記録した映像のようです。
映像の中の兄は、84回ものテストを重ねてベイマックスの起動に成功し、『たくさんの人を助けられる』と大喜び。
ここへ来て、もう少しで亡き兄の願いを踏みにじるところだったことに気付き、ヒロは涙ながらにベイマックスに謝罪します。
そこへ、ヒロを心配して声をかけるゴーゴー達。
フレッドが執事にヘリをチャーターしてもらって、大急ぎで駆け付けたようです。
勝手な行動を取ったヒロを責めるでもなく、ヒロを黙って包み込むゴーゴーと仲間達。
なんて良い人達なんだろう・・・。(2回目)
改めて「キャラハンを逮捕する」と一致団結した6人は、あの島で見た記録映像に続きがあったことを知りました。
映像を分析したヒロは、女性テストパイロットが、キャラハンの娘であることを突き止めます。
娘を犠牲にしたクレイに復讐すること、それがキャラハンの真の目的だったのです。
マイクロボットと制御装置は未だにキャラハンの手の中・・・急がないと大変なことになります。
そして翌日、クレイの会社で行われていた新社屋の完成パーティで、事件は起こります。
『失敗を乗り越えて夢を実現した』とスピーチするクレイ社長に、『私の娘「アビゲイル」のことも”失敗”で片付けるのか』とマイクロボットをけしかけるキャラハン。
更にキャラハンは、修理した転送装置で、できたての新社屋をクレイもろとも異世界へ吸い込もうとします。
駆け付けたヒロ達は、再び仮面を奪って無力化を図ろうとするも、流石に同じ手は二度は通じないようで、上手くいきません。
しかし、ヒロ達はONになったままの転送装置を見て、『ならばマイクロボットそのものを片付ければいい』ということに気付きます。
6人のヒーローは、マイクロボットの群れに攻撃を当てて分散させ、少しずつ転送装置に吸い込ませます。
キャラハンが気付いた時にはもう遅く、マイクロボットは攻撃も移動も満足にできないぐらいの数に減ってしまいました。
キャラハンの復讐を見事阻止し、拘束することに成功したヒロ達。
転送装置も暴走を続けるものの、まもなく勝手に壊れてしまうのは目に見えています。
ベイマックス、「完」!
と言いたいところでしたが、ベイマックスの強化スキャナーが、転送装置の向こう側に生命反応をキャッチします。
どうやらアビゲイルは、異次元空間の中で仮死状態になって生きているようなのです。
転送装置の崩壊まで時間がありません。
仲間の制止を振り切り、兄の理念を貫き通す為に、ヒロはベイマックスと共に転送装置に飛び込みました。
宇宙空間のようになっている異次元を、ロケットエンジン噴射で高速飛行するベイマックス。
そして彼等は、アビゲイルを無事に救出し、急いで踵を返しました。
しかし、最後の最後で大きな試練がヒロ達を襲います。
入り口まで後少しというところで、巨大な瓦礫が飛来してきました。
ヒロを瓦礫からかばったベイマックスはロケットエンジンを破損・・・帰る手段を失ってしまいました。
ここまで来て万事休すかと思われましたが、ベイマックスは、ロケットパンチの推進力でアビゲイルとヒロだけでも帰そうと提案。
『兄さんに続いてベイマックスまで失うのは嫌だ』と泣き叫ぶヒロに、ベイマックスは『わたしはいつも一緒に居ます』と語りかけます。
意を決したヒロはベイマックスに別れを告げ、彼の提案を受け入れました。
異次元空間の奥に消えるベイマックス。
大き過ぎる犠牲を払って、ようやく全てが終わりを迎えました。
季節は巡り、大学で仲間と共に悲しみを乗り越えて前に進むヒロ。
しかし彼はある日、ベイマックスの遺したロケットパンチが何かを握りしめている事に気付きます。
それは、よく見知った緑色のチップ・・・他ならぬ、ベイマックスの心臓部ともいえる医療チップでした。
ベイマックスのボディを復元したヒロは、アクセスポートに医療チップを差し込みます。
大きなビニールボディでぎゅっとヒロを抱きしめ、優しく語りかけるベイマックス。
3.「ベイマックス」の見どころ
「ベイマックス」は王道ながら、予想だにつかない展開が目白押しです。
未知の危険と興奮でいっぱいのサイエンスフィクションの世界の歩き方を、あなたにだけこっそり教えちゃいます!
待ち構える数々の試練とドラマ
ベイマックス『タダシはとても健康でした。バランスの良い食事と運動で、長生きできたはずです』
突然訪れた兄の死を皮切りに、ヒロには次から次へと困難が降りかかります。
予想外のハプニングが頻発し、何度も窮地に陥ります。
でも、その度にヒロは仲間達と共に困難と悲しみを乗り越え、自分の人生と世界をより良い方向に導いていきました。
人生の試練は形を変えて、何度も立ちはだかります。
ヒロは結局、キャラハン教授から教えを請けることは叶いませんでしたが、代わりに大切なものをたくさん手に入れました。
試練をひとつ乗り越える度に人は成長し、前に進むことができるのでしょう。
全てはこの時の為に
ヒロ『まさかスーパーヒーローになるなんて、ホント何が起きるか分からないよね!』
兄を死なせた男に復讐したい一心で、ヒロはケアロボットに戦闘用の機能を施しました。
でも、兄がベイマックスに託した理念を知り、復讐を思いとどまります。
そして暴力を振るう為の哀しい強さは、キャラハンの暴走を止めた直後に思わぬ活躍を果たしました。
戦い、破壊する為の間違った力が、最後の最後で誰かを救う力になったのです。
一寸先は闇の分からないことだらけの人生ですが、その時できる最大限のことをやれば、後になってその全てが活かされる時が来ます。
人間関係の潤滑剤(!?)
昔、炭鉱では、鉱夫達に同行して冗談を言いまくるだけのお仕事があったそうです。
鉱石を掘るでも、雑用をするでもなく、ただ後ろで愚にもつかないような与太話を繰り返して場を和ませる、そんな人達がいたのです。
何故急にこんな話をしたかというと、劇中のフレッドがまさにそういう役回りだったからです。
フレッド『フレーッズエンジェール!ン・ンー・ンー!フレーッズエンジェール!ン・ンー・ンー!』
フレッドは他のメンバーと違い、科学的な才能があるわけではありません。
それどころか、用も無いのに大学を出入りしては、『スーパーヒーローになれる発明をしてよ』と友人達にせがむような困った男でした。
でも、バカみたいな空想話を目を輝かせながら話すフレッドの存在が、周りのムードを明るくしたのは確かです。
研究室のメンバーには、クールでぶっきらぼうなゴーゴーや神経質なワサビがいるので、案外フレッドのような人物が潤滑油になっていたのかもしれませんね。
4.ライタースモモニキの「ベイマックス」研究室
「ベイマックス」はとっても科学的な映画です。
どの辺が科学的かって?
SFチックなストーリー展開?それとも電磁ベアリングサーボとか電磁サスペンションとか、そういう難しそうな横文字?
もちろん、どちらも違います。
サイエンスのサイエンスたる由縁、それは「仮説と検証」です。
仮説と検証の繰り返しで、「ベイマックス」の物語は進行していきます。
ヒロの冒険は、兄が死んだ火災に陰謀めいたものを感じたところから始まりましたが、調査の結果、実際は単なる事故だったことが分かりました。
とんだ肩すかしを喰らった気分ですが、本当に大事なのはそこではありません。
まず仮説を立てて、それを確かめにいくことで、初めて物語が動き出すということが肝心なのです。
ではここで、「仮説と検証」の守備範囲を、単なる推理の答え合わせの範疇から飛び出して、「確かめに行った結果どうなったか」に注目してみましょう。
- 小さいロボットが行きたがっている場所を探す→マイクロボットを悪用している人物の暗躍を知る
- 火災は仮面の男が事故に見せかけて引き起こした、と推理する→火災は結局事故だったが、思わぬ真実に辿り着く
- 復讐の為のバージョンアップが必要と考える→人命救助に活かされる
「これはこういうことじゃないか」「こうすれば上手くいくんじゃないか」と考えて、確かめようとしてみる。
そうすることで、物語は前に進みます。
確かめる為に行動してみた結果、全くの見当外れかもしれないし、時にはとんでもない過ちを犯してしまうこともあるかもしれません。
でも、とにかく動いてみなければ何も変わらないし、失敗しても後になって必ず活かされます。
よく言われることですが、まずは行動あるのみですし、もっと科学的に言うならば、「仮説と検証」あるのみです。
そうやって、科学も人も進歩していくのです。
フレッド『科学!!サイコーーー!!!』
5.「ベイマックス」をオススメしたい人
マシュマロがお好きな人はツイてますよ。
この映画は、マシュマロみたいなベイマックスが活躍します。
じゃあマシュマロが嫌いだったら?
やっぱりツイてます、何故ならベイマックスの体はビニールなので食べられません。
科学的でありたい人
繰り返しになりますが、「仮説と検証」無くして、人生は前には進みません。
- 「もし予想していた展開が無かったら?」
- 「期待していた未来が無かったら?」
そうした暗い未来を想像して動けずにいる人は、ヒロの作中の活躍に注目してみましょう。
絶望の向こうに待っていた、予想だにしない展開。
この映画は、人生の歩き方を学ぶ大学でもあるんです。
仲間が欲しい人
才能あるヒーロー達の物語なんて、自分には縁が無いと思っていますか?
とんでもない!
大事なのはどんな才能があるのかではなく、何を成し遂げるかなんです。
誰かを助ける為に頑張れば仲間はたくさんできるし、その為に仲間はいる。
共に歩める人達は、必ず王道の先に待っています。
実は自分はスーパーヒーローなんじゃないかと思っている人
人は誰しも、「実は自分にはとてつもない潜在能力があるんじゃないか?」と一度は夢見るものです。
巨悪をぶっ飛ばす仕事に就けるんじゃないかとか、目からビームが出せるんじゃないかとか。
流石に、目からビームを出せる人は見たことないですが、どんな人にもヒーローになれる可能性が眠っています。
それは、5人の仲間と共に世界を駆けるジャスティスリーグかもしれないし、たった1人の弟に置き土産を遺し旅立つ兄かもしれない。
一人一人の人生が異なるように、それぞれに違うヒーロー物語があります。